思想荷重

押しつぶされし日々。

【読書記録】辛口『マチネの終わりに』平野啓一郎 


昨晩ここに日記を書いて

そのあと2時ごろまで本を読んでた。

 

平野啓一郎『マチネの終わりに』

 

時間を返してほしい。

途中で胸糞過ぎて読むのやめた。

こんなネガティブを綴るのはやめよう

そんなことも思ったけど

ちゃんと書こう。

 

以下ネタバレ要素あるので

読んでない人はご注意を!

 

平野啓一郎氏は悪くない。

わたしがこの本を、

このお話のあの場面以降が

我慢ならんというだけの話。

 

途中までとても楽しく読んでいたし

それこそ深夜まで。

わくわくして読んでいたよ、

だからこそ胸糞度合も大きい。

 

 

 

 

まず、これが恋愛小説だと知らなかった!

人の恋愛のあれこれに、

なかなか感情移入が難しいお年頃!

 

それでも読み始めると大人の恋愛の話で

しかもわたしと年が近い。

主人公が芸術家肌で感性が豊かで

チャーミングでとても好感を持って

なんなら応援していた。

相手の女性もそう。

彼らの人生丸ごと。

恋愛というメインテーマと

それを包括する彼らの人生丸ごと。

頑張れーって応援してた。

 

出会い、告白、再会。

そしてやっと結ばれるという場面。

ふたりともそれぞれに

人生でとても難しい時間を過ごしていたし

これからどう切磋琢磨して

ふたりで美しい感情のやりとりを通じて

どう人生を切り開いていくんだろう?

 

これから手を取り合って乗り越えていくのだろう。

どんな紆余曲折が待っているのか。

どんな変化が訪れるだろう。

そんな気持ちで読み進めていた。

どことなく自分の中年クライシスに重ねていた部分も大いにあった。

 

結婚の口約束までしていた彼ら。

お互いの人生を半分ずつ受け渡していた。

 

なのに!!!!!

 

あの瞬間ですべてが薄っぺらくなってしまった。

卑怯極まりない!人として最低の行為。

ほぼ殺人よ、本当最低。

めちゃくちゃ腹が立った。

何てものを見せられたのか!

 

それにふたりを心底見損なった。

そうして大人ぶって、すべてを傷つけて

結婚?

ひとつのメールでなかったことになる結婚話?

違う人と結ばれる?

そうなるように選んだのはこのふたりで

あの薄っぺらい女はきっかけだっただけで

原因ではない。

それまでの全てが嘘になる。

これまで読んだ全てが。

 

自分の人生のもう半分を賭けてみる勇気が

結局のところ持てなかったということだろう。

わかるよ、大人になると背負うものが多くて

それが無自覚のものもあるし

ある程度のプライドというのも

自分を保つために必要だもの。

でも向き合いもしないで、

メールでさようならとは浅い。

浅すぎるでしょ、いくら小説でも。

 

あぁ、本当に最悪の読書体験だった。

記憶に残るという意味では完全に残る。

これだけの打撃を与えたという意味で。

 

大人同士の恋愛というのは

一筋縄ではいかない。

これがテーマだったのでしょうか。

わたしはそれでも

人生の波を一緒に乗り越えていくのが

愛ではないのか、命を捧げ合いながら。

そんな風に思っているので

一度逃げ出したふたりが見つめ合った先に

何かが起こるとはもう思わない。

自分たちの浅い決断を淡い運命なんて

言葉や表現で包んでみても無理があるでしょう。

 

でもわからない、わからない。

わたしが60歳ぐらいになったら

また違う考えになっているのかも。

とりあえず今のわたしにとっては

到底理解できない、

恋愛ですらない無責任な夢物語だったわ。

 

恋愛小説はちょっとこりごり。

現代が舞台のお話も当分お休み。

 

あぁ。